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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第9章 第八話 魔女の棲む村


「すみません、こんなものしかお出しできなくて」
「いえ、今夜の宿を貸してくださったのにお食事まで…」

そう言いながら彩音がお礼を述べると、少女が微笑んだ。
いただきますと4人は食べ始めた。

「娘のソフィアの料理が、口に合うと良いのですが…」
「とっても美味しいです!」

にこやかに笑う彩音に、ソフィアがくすくすと笑った。
台所へ戻るソフィアを見ながら、神田がちらりとユキサに視線を送る。
気づいたユキサがこくりと頷くと、口を開いた。

「あの…つかぬ事をお伺いしますが、奥様は…」
「…妻は、10年も前に病死しました」
「そうでしたか…」

それでソフィアさんは料理がこんなに上手なんですね、と不二がフォローする。
ありがとうございますと言うソフィアが問いかけてきた。

「それで、あなた方は旅人だとおっしゃっていましたが…」
「はい。アルヘイムの町に向かってまして」
「…。…その途中で、変な噂を聞いたんですが」

彩音が問うと、神田が彩音を睨んだ。
余計な事に首を突っ込むなという意思表示だろう。
彩音はそんな視線を受けながらも言葉を続ける。

「最近、この村に向かった人が戻ってこないという噂がありまして…」
「そうなんですか?」

キョトンとしているソフィアに、違和感を覚える。

「あの…最近村に村人以外の人が来ませんでしたか?」
「えと…。私、実は最近まで村にいなかったんです」

ミッテルバルトで、お針子の仕事をしていたんです。
そう答えるソフィアを、ユキサはじっと見つめている。

「最近、まとまった休みがもらえたので、村に戻ってきたんです」
「いつから戻ってきたんですか?」
「ちょうど、10日前に」

4人が顔を見合わせる。

「…平和そうな村で何よりです。何せ、ダンケルン村には魔女がいるとの噂も聞いていたので」

ユキサの言葉に、ガチャンと皿を落としたのは、ソフィアの父親だった。
ス、とユキサと神田が目を細める。
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