第9章 第八話 魔女の棲む村
「…あのさ、3人とも。やっぱり服洗った方がいいと思う…」
後衛の彩音はほとんどついてはいないが。
前衛の神田、不二と、思わぬ自体で戦う羽目になったユキサは返り血がついていた。
特にユキサはAKUMAとほぼ密着状態だったために背中にべっとりと血がついている。
白い髪も赤が目立っていた。
「陽が落ちてきてるし、ここで宿を取るよね?さすがにその格好じゃ…」
「確かにそうだね。水場を探そう」
村があるだけあって、川が村からすぐ近い所にあった。
神田と不二が顔や手を洗い、団服も同じように洗い流す。
2人から離れた所で、ユキサはどうしたものかと考えていた。
「タオルで拭く?」
「それじゃぁ時間かかっちゃうし…」
彩音の言葉にうーん…と考える。
ユキサの団服は神田たちのように羽織るものではない。
つまり脱ぐ事が出来ないのだ。
ついでにいえば髪にも血がついているのだから、服だけ洗えても意味はない。
面倒になったユキサはそのままバッシャーンと川へ飛び込んだ。
「ユキサー!?」
「こうしちゃった方が早い」
そういう問題じゃないよー!と叫ぶ彩音を無視して、ユキサは血を洗い流した。
「何をしてるんだアイツは…」
こちらからは見えないが、大きな水音がしたためにだいたい予想がつく神田。
くすりと笑いながら立ち上がり、ふと不二は古い小屋を見つける。
「…随分と古い小屋…」
呟いてから、不二がハッと目を見張った。
神田も気づいてそちらをみる。
そこにはふわりとストールを靡かせて佇んでいる、1人の少女の姿があった。
「あれ?誰、その子…」
歩いてきた彩音が少女へと視線を向ける。
後ろからユキサもやってくると、神田が慌てたように立ち上がった。