第9章 第八話 魔女の棲む村
「やめといた方がいいと思うがね!最近その森は帰らずの森と呼ばれていてね!白いコートの3人が入ったまま帰ってきてないんだよ!」
「白いコート…?」
老婆の言葉を聞きながら、4人は首を傾げた。
「夜じゃなくてよかったね~」
森に入った所で、空を見上げながら彩音が言った。
木々から差し込む光で今は明るいが、夜ならば真っ暗だった事だろう。
そうだねと返事を返しながらユキサが歩いていると、前を歩いていた神田が急に横の草陰に視線を向けた。
何、と思う間もなく、1人の男が斧を振り上げて襲いかかってきた。
「うおおおおお!!」
ガッと神田が刀の柄を男に打ち込んだ。
が、男はそのまま倒れること無く、その体をAKUMAへと変化させる。
「イノセンス、発動!」
瞬時に大鎌を発動させたユキサがそのAKUMAを斬る。
そのまま周囲の木を一緒に切ってしまう。
この生い茂る木々の中では、どうしようもないだろう。
「これが帰らずの森の正体だね」
「やっぱりAKUMAがいたんだね…」
消えていくAKUMAを見ながら不二と彩音が呟いた時だった。
パキッと小枝を踏む音が聞こえ、ユキサが大鎌を構えて走り出す。
「ひぃぃぃ!!!!こ、殺さないで下さい!!」
「え?」
姿を見たユキサがピタリと止まる。
そこには震えながら4人を見る、ファインダーの姿があった。
ゴズ、と名乗った新人ファインダーは、4人の後を追ってくる。
ゴズはファインダーの仲間たちと3人で来ていたが、他2人はAKUMAに殺されてしまったという。
ホントに助かりましたよ、と息をつくゴズ。
「私たちは教団の指示でこの先の村の調査に行く途中だったんです。私たちの連絡が途絶えたから教団があなた達を派遣してくれた…んですよね?」
4人の空気を察したのか、ゴズが自信なさげに言った。
ううん、と彩音が首を振る。