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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第1章 プロローグ 導かれし三人


「あ、店長!今日微笑ましいカップルがお見えになったんですよ!」
「あら、春になってカップルも増えたのかしら」

アクセサリーショップの店員が嬉しそうに店長へ話しかけている。

「お互いに色違いのブレスレットを相手にご購入なされて…きっと今頃交換してるでしょうね!」
「あらそうなの?どんなブレスレットを購入したのかしら?」

聞かれた店員が、どんなものなのか事細かく説明した。
元々このショップはあんまり品数は置いていない。
店長が厳選したものを、学生も買えるような値段にして販売している。
そのため、店長はお店に置いてある商品はほぼ覚えているはずなのだが…。

「…。そんなブレスレット、置いていたかしら…?」

店長は首を傾げていたが、たまたま覚えていなかったのだろうと気にも止めなかった。


―――――ラークー…、ディ…、ラー…。


「(歌が…聞こえる…)……ん…」

綺麗な歌声に、彩音は目を覚ました。
全身が痛い。
しかし落ちた時に不二が庇ってくれたのか、外傷はほとんど見当たらなかった。
不二は隣で気を失っていた。

「周助!目を開けて!」

軽く揺さぶるが、不二は少し唸っただけで目を覚まさなかった。
どうしよう…と考え、辺りを見回す。
崩れた廃墟のような場所、辺りは暗く、天井の隙間から月明かりが差し込んでいた。
自分たちが今いるこの場所は、どこなのだろう。
考えていた彩音だったが、歌声が聞こえる方へと視線を向けた。

歌っている人がいるなら、助けてもらえるかもしれない。

そう思い、自分が着ていた上着を不二にかけると、歌声の方へ歩き出した。

歌声が大きくなると、そこは教会のような場所に出た。
部屋の中央ではマントを身に纏っている金髪の少女が天を仰ぎ、瞳を閉じて歌っている。
頭には機械のような物がつけられていたが、それさえも気にならないほど少女は美しかった。
ぼー…っと見とれていた彩音だったが、ハッと我に返り小さく声をかけた。

「あ、の…」
「誰!?」

驚いた少女はバッと彩音の方へ振り向いた。
近くの椅子にはもう1人、同じような格好をした人が座っており、同じく彩音の方へ振り返る。

「綺麗な歌…邪魔してごめんなさい。その、友達が目を覚まさなくて…」
「……」
「ララ」
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