第1章 プロローグ 導かれし三人
「あ!ご、ごめん、お揃いは嫌だよね…」
「どうして?全く嫌じゃないよ。とても嬉しい」
それじゃぁお言葉に甘えようかな?と不二が嬉しそうに言うので、彩音も照れながらも心が暖かくなった。
2人でレジに向かい、それぞれ相手のブレスレットを購入する。
「カップルさんですか?」
「え!?」
レジの店員に話しかけられて彩音は再び赤面した。
先程の熱もまだ冷めきっていないのいうのに…。
「はい」
「!しゅ、うすけ…」
特に気にもせず自然に返事を返した不二に、彩音は困惑する。
自分たちはそんな関係ではなかったはずなのに…。
(お揃い…買ったら、そう見られるよね…)
嫌ではない。
幼い頃から不二に思いを寄せていた彩音が、嫌なはずはない。
だけど心に引っかかるのはーーーーー。
「はい、ブレスレット」
「うん…ありがとう」
ショッピングモールの屋上にあるベンチにて。
喉が渇いたと自販機で飲み物を購入し、購入したブレスレットをお互い交換した。
彩音は左手首に、不二は右手首に、身につける。
空に手を翳すと、夕日に反射した宝石がキラリと光る。
「綺麗だね~!」
「………」
「周助?」
ふと、黙り込んでしまった不二に不思議に思い、彩音は視線を空から不二へと向けた。
そこには、真剣な表情の不二がいる。
あまりにも真剣なその様子に、彩音はゴクリと唾を飲み込んだ。
「ど、どうしたの…」
「……話が、あるんだ」
紡がれた言葉に、彩音はドキリと心臓が波打つ。
ス…と不二の右手が、彩音の左手にかかったその時。
―――――キィィ……ン!!!
「っ!?な、何!?」
共鳴するかのように高い音が鳴り響き、辺りが光り出す。
その眩しさに手で顔を隠してた彩音だったが、不二に腕を引っ張られた。
「彩音!」
「周助!!これ、何!?」
「分からない!危ないからつかまっ…!!!」
フッと、浮遊感が2人を襲う。
眩しいほどの光が急に収まり、辺りが真っ暗な空間に包まれ、2人の足元は消滅したのだ。
「い、やああーーーー!」
「くっ…彩音、掴まって…!!」
落下スピードはどんどん加速し、2人は深い底へと落ちていったのだった。