第8章 第七話 終末への幕明け
司令室へと入るとそこにはアレンが立っていた。
一瞬神田と睨み合ったが、おはようと声をかけてくる。
「急に呼び出してすまないね。アレンくん、それから彩音ちゃんに不二くん」
君たちには、イエーガー元帥に届け物をして欲しい。
告げられた言葉にアレンが目を丸くする。
「それだけ、ですか?彩音と不二もいるのに…」
任務じゃないのかと訝しげな視線を向けるアレン。
その視線を受けてコムイがにっこりと頷いた。
「実はイエーガー元帥が君たちに会ってみたいって言っていてね。…本当はユキサちゃんも呼ばれているんだけど、ユキサちゃんには神田くんと別の任務に行ってもらいたい」
ユキサが同行しなければならないということは、イノセンスが関わってくるのだろう。
少し不服そうな彩音と、不二、アレンはわかりましたと頷いた。
「ユキサちゃんと神田くんには、至急デンマークへ向かってもらいたい」
「了解しました」
ユキサが返事を返すと、彩音が近づいてくる。
気をつけてね、と声をかけられて、ユキサは力強く頷いた。
「それじゃあ、よろしく頼むよ」
イエーガーはオランダにいるとコムイから聞いていた。
しかし待ち合わせ場所にいたファインダーのティエリーの話によると、ベルギーでイノセンスが発見され、イエーガーは向かってしまったというのだ。
こうして4人はベルギーへ向かった。
道すがら、ティエリーからイエーガーについて少し話を聞いた3人。
「教師かぁ…」
「懐かしいね」
「そういえば…2人は学校へ行ってたんですよね?」
2人の事情を知っているアレン。
うんと頷いた彩音が思い出すように話し始めた。
「私と周助は同じ学校でね、周助はテニス部で、私はマネージャーをやってたんだ」
「そうだったんですか」
「周助は凄い強かったんだよ!」
目をキラキラさせて語る彩音を見て、アレンが楽しそうに笑う。
対して不二は少し照れた表情を浮かべていた。