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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第7章 第六話 千年の剣士


にっこり微笑むユキサに、少しだけ迷い、小さく頷いて彩音はペドロと共に部屋を出ていった。
入れ替わりに、神田が部屋へと入ってくる。
眉間に皺が寄っているのを見て、ユキサが苦笑いをした。

「…何故庇った」
「そりゃあ、斬られそうだと思ったら助けるでしょう?」
「邪魔をするなと言ったはずだ」

これは俺と奴との戦いだ。
ユキサが首を左右に振った。

「それが正々堂々の勝負なら私も邪魔はしなかったよ。…傷が回復するとか、反則じゃない」

神田が勝ったのに…。
少し拗ねたような表情に神田が目を丸くした。
神田の珍しい反応にユキサもつられてきょとんとする。

「なに?」
「…いや。ところでお前、その体」

言わんとしている事が分かったユキサはあぁ…と少しだけ視線を彷徨わせた。
話すのを躊躇っている風ではなく、どう説明しようかと悩んでいるようだった。

「私が記憶はないことは神田も知ってるよね?…昔からこういう体質だから、私にも分からないの」

傷が早く治る体質。
それは致命傷を負っても、時間が経てば治癒する。

神田が、目を見開く。
その反応にユキサは首を傾げた。

「どうかしたの?」
「…前にお前は、『花』と言ったな」
「花?」

神田に強い視線を向けられ、慌てて記憶を探る。

そういえば神田と初めて会った時、辺りに花びらが舞っていたような…。
意識がはっきりしていない時も何度か…。

「その、神田の周りに時々見えるお花の事だよね?」
「!!」

その、蓮華の―――。
神田に、ユキサは両肩を掴まれた。
強い力に顔を顰める。

「お前は…!!」
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