第7章 第六話 千年の剣士
「馬鹿!怪我してるのはユキサでしょ!」
怒りの声にユキサはバツが悪そうに笑った。
「大丈夫、私、頑丈だから…」
「そういう問題じゃ…!…え?」
すい、と斬られた場所を見せたユキサ。
その怪我を見て3人は目を見開く。
曖昧に笑いながら、ユキサはふらりと立ち上がった。
「そんな事より…不二が」
そろそろまずいのではないだろうか。
一同が視線を向ければ、大きく肩で息をする不二の姿。
どんなに傷つけた所で、結局ビットリオは回復してしまうのだ。
じ、とユキサはビットリオを見つめる。
「周助!!」
よろけた不二の一瞬の隙をついて、ビットリオが襲いかかった。
その時だった。
「おやめなさい!!」
凛とした声が響き振り向くと、そこには1人の女声の姿が。
「もしかして…クラウディアさん…?」
「…私は戻りません」
戻ってお父様やパレッティに伝えて下さい、私は絶対に戻らないと。
はっきりとした拒絶。
去っていくクラウディアに続き、ビットリオもその場を去った。
「ユキサ、まだ寝てないと」
「大丈夫だよ」
彩音の言葉に、さっきも言ったでしょ?とベッドで体を起こしているユキサ。
あれから一行はとある家へ。
ここ数日、元々神田やユキサ、ペドロがお世話になっていた家だ。
ビットリオとの戦闘で消耗した不二はあの後意識を飛ばし、今は別の部屋で休んでいる。
控えめのノックの後、ユキサが返事を返すと扉が開く。
入ってきたのはペドロだった。
「不二さん、目を覚ましましたよ!」
「本当!?」
「彩音、行っておいでよ。私は大丈夫だから」