第7章 第六話 千年の剣士
AKUMAの体が真っ二つに斬り裂かれた。
爆発の煙が徐々に晴れてくるとそこには大きな剣を持った男が立っていた。
「我が名はビットリオ。サンドラ姫の名により、お相手致す」
あの男がビットリオ!?
彩音と不二がそちらを向いた時、賞金稼ぎたちが重火器を撃ち込んだ。
しかしビットリオは容赦ないその攻撃を大剣で受け止め、剣撃で弾き返す。
大剣を振った風圧で、男たちは為す術もなく吹き飛ばされていった。
「…」
「お前じゃ無理だ」
ビットリオと対峙しようとス、と立ち上がった不二だったが、聞こえてきた声にハッと振り返った。
そこには神田と、ユキサの姿があった。
「ユキサ!」
「彩音、不二、来てたんだね」
「連絡が途絶えたって聞いて、皆心配してたんだよ」
駆け寄ってくる彩音に、ユキサが小さくごめんねと呟いた。
俺の獲物だ、邪魔をするなと神田がビットリオの前へ降り立つ。
不二も彩音とユキサの元へ歩いてきた所でペドロが向かってきた。
「よかった、ペドロさんも無事で」
「連絡が取れなくてすみません…」
謝罪しながらも、ペドロがあれはイノセンスだという事を彩音と不二へ説明した。
あのイノセンスが宿った大剣こそが、ビットリオを1000年も生かし続けた元凶。
「あの2人は、3日間ずっと戦い続けていて…。そのうちAKUMAたちが来て、気づけばビットリオはいなくなってて」
神田も疲れ切っていて、2日ほど休んでいたの。
ビットリオと戦う神田を心配そうに見つめながら、ユキサが言った。
「剣士としてのプライドなのか、2人ともイノセンスは使わないし、私が手助けすることも神田は許してくれない」
ギュッと手を握るユキサの肩に、彩音が優しく手を置いた。
神田なら大丈夫、そう言いたいが、今現在まだ解決していないこの状況に不安が募る。
それからしばらく、剣をぶつけ合っていた2人だったが。
渾身の力で、神田がビットリオを斬り付けた。
「や、やった…!?」
4人が安堵に息を漏らしたその時。
ビットリオに斬り付けた傷が、みるみる塞がっていった。