第7章 第六話 千年の剣士
うん、と頷いた彩音と不二は、宿へと向かった。
次の日の朝、賞金稼ぎたちは我先にとローマの郊外の闘技場へ向かう。
彩音と不二もそれを追った。
「周助、あれ!」
その声に上を見上げると、大量のAKUMAたちが闘技場へと向かっていった。
急ごう、と走る不二に彩音も足を早めた。
どこだ!?ビットリオ!
賞金稼ぎたちが四方八方に散らばり、ビットリオを探している。
そこへAKUMAたちの弾丸が撃ち込まれた。
驚いた賞金稼ぎたちが空を見て、悲鳴を上げる。
「イノセンス発動!」
グングニルを手に、不二が飛ぶ。
逃げ回る賞金稼ぎたちに逃げ道を差す彩音。
AKUMAの攻撃は止まない。
爆発音と悲鳴が響く。
と、1人の男が遠くで躓き、そこへAKUMAが迫った。
走り出そうとした彩音に、近くに倒れていた男が自分を助けろと縋り付いてくる。
(皆、自分の事ばかり…!)
遠くの男は、不二が助けた。
「パレッティ子爵様からのご命令である!中に潜むビットリオを倒し、クラウディアを救い出した者には、サルディーニ家の財産の5分の1を進呈する!」
逃げた賞金稼ぎたちが、闘技場の外で口々に騒ぐ。
2倍にも膨れ上がった報酬に、再びビットリオ討伐に向かうもの、命の方が大事だと帰る者と様々な反応だ。
逃げたはずの男たちが戻り、彩音と不二が目を見開いた。
「ど、どうして!?」
「そんな武器じゃAKUMAは倒せない!」
不二の言葉に構わず、男たちはAKUMAへ重火器を撃ち込む。
弾は当然のごとくAKUMAに弾き飛ばされるばかりだ。
AKUMAが男たちへと襲いかかろうとした瞬間だった。