第7章 第六話 千年の剣士
「神田とユキサが行方不明?」
司令室に呼ばれた彩音と不二が目を見張る。
「そう。ローマ郊外の遺跡で発見されたイノセンスの回収に向かったのだが、同行していたファインダーと一緒に、一週間前から連絡が取れなくてね。彼らが姿を消した闘技場の周りにはAKUMAがたくさんいて、エクソシストでなければ近付く事が出来ないんだ」
「僕たちに行ってこいってことですね」
頷くコムイを見て、彩音が不安そうな視線を不二へと向けた。
彩音の視線を受け止めながら、不二がわかりましたと答えた。
「神田とユキサに限って、まさかとは思わないけど」
だけど連絡が途絶えるという事は何かあったという事だ。
ローマに向かう汽車の車内で、彩音が言った。
不二も同意している。
「そもそも今回ははっきりイノセンスは見つかってるみたいだし…そう時間はかからないと思うのだけど」
「AKUMAがいて近づけないって事なら、まだイノセンスも奪われてないって事だよね?」
考え込む2人。
答えを見出す事は出来ず、汽車はローマへと到着した。
なにやらガラの悪い男たちが目につく。
街中で彩音と不二は違和感を感じていた。
小さな男の子を突き飛ばす男、店の食べ物を無断で食べる男、今にも殴り合いの喧嘩を始めそうな男たち。
「どうせなら、相打ちで両方くたばってくれたら、助かるんだがなぁ…」
「え?」
突然背後から聞こえる声。
2人が振り返るとそこには男の姿が。
「俺たちは賞金稼ぎだ。サルディーニ家から攫われた娘を取り返すために集められたんだよ」
「賞金稼ぎ…」
「娘を取り返す、とは?」
不二に問われて、知らないのかと男は続けた。
「三日前、サルディーニ家のクラウディアっていう16歳の娘が連れ去られたんだ。攫った男は、自らをビットリオと名乗ったそうだ」
その名前に、2人は目を見開く。