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闇を照らす君の光【ヒプマイ夢】〘独歩夢〙

第1章 光と影




そういうところも可愛いんだけど。

軽く母親な気分で、笑う。

自販機の前のソファーに並んで座って、コーヒーを飲む。

「でもほんと、課長って独歩を虐めるのだけは天下一品だよね」

「ははは、まぁ、断れない俺も悪いんだけどな……」

「仕方ないよ。理不尽だけど、部下は上司には逆らえないのが、現実なんだし」

俯く独歩に目をやる。

目にかかりそうな髪に手を伸ばす。

「ん……」

抵抗する事もなく、髪に触れる私のなすがままになってる独歩に、何処か色気を感じてドキリとする。

「気持ちいい?」

「んー……」

想像より柔らかな髪が、指に馴染んでそのまま何度も撫でる。

気持ちよさそうに目を閉じている独歩の顔を、ここぞとばかりに観察していた。

「独歩って、美人だよね……疲れた顔が、何か、エロい」

「っ……な、何言ってんだよっ……おっさんか」

「言われない? 夜道気をつけて歩かなきゃ駄目よ? 変なおじさんに狙われちゃうんだから」

「あのなぁ……俺を何だと思ってんだよ……」

苦笑している独歩から手を離し、立ち上がる。

甘い雰囲気にいたたまれなくなった。

「さっ、後ひと踏ん張り頑張ろっか」

そう言って二人で戻る。

残りの仕事は意外に早く終わった。二人でやるとやはり早い。

「よし、終わったー。お疲れ様」

「悪いな、こんな時間まで。危ないから送るよ」

「いいのに。あ、ねぇ、ご飯は? あぁ、そっか、一二三さんが作ってくれてたりする?」

私の言葉に少し悩み、スマホを手に取って電話を始める。

「あ、一二三」

一二三さんと電話を終え、私は何故かおうちにお邪魔する事になった。

「ねぇ、突然なのにいいの?」

「別に気にするな。一二三も、お前なら大丈夫だって言ってたし……」

何度か会って、慣れてくれていたからだろうか。

独歩の親友と仲良くなれるのはいい事だ。独歩の友人に嫌われているのは嫌だし。

マンションに着いて、部屋の扉が開くと、一二三さんの明るい髪色が見える。

「チョリーッスっ! さん、いらっしゃいっ!」

明るいお出迎えに、笑顔で挨拶を返す。

怯えられていた最初が懐かしい。だいぶ慣れてくれたのは、いとこのおかげだと心の中でいとこにお礼を言った。
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