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闇を照らす君の光【ヒプマイ夢】〘独歩夢〙

第4章 曖昧な関係は終着へ




これは一体何なんだろう。

嫉妬、なのだろうか。何でだろう。

「付き合ってるわけじゃないんだから、独歩には関係ないでしょ?」

「っ……」

「独歩だって、女の子に囲まれて楽しそうだったじゃない。人の事言えないでしょ?」

こんな事を言いたい訳じゃないのに。つい棘が出てしまう。

「それは、ちがっ……」

「離して……」

私の言葉に傷ついたみたいな、まるで捨てられた小動物みたいな、今にも泣きそうな顔をする。

独歩は本当にズルい。

私が振り払えないのを分かっててやってる訳じゃないんだから、余計タチが悪い。

大きくため息を吐いて、気分を落ち着ける。

「逃げないよ。とりあえず腕、痛いから離して」

「あ、ご、ごめんっ!」

急いで手を離し、怒られるのを待つ子供みたいに、こちらを気にしている。

「戻る? 帰る?」

腕を擦りながら、落ち込んでいる独歩を見上げる。

「……は……」

「独歩に任せる。どうしたい?」

私が独歩の手を握ると、少し安堵したような表情になる。

戻るつもりがない独歩と私の荷物を持ち、二人で店を出た。

どちらの家に行くのすらもどかしく、近くのホテルへ向かう。

勿論、逃げないのに手は痛いくらい握られている。

慣れないホテルのシステムに二人であたふたしながらも、無事部屋へ辿り着く。

「おー、凄いね。想像より広くて綺麗ー。私この歳でホテル初体験なんだけど」

私の言葉に、独歩はまだ何も言わない。

「どうしたの? あ、緊張してる?」

「ちょ、っとだけ……」

入ったすぐの所で、ただ立って周りを不安そうにキョロキョロ見回す独歩に近寄る。

「こっち来て」

手を取り、ベッドへ座らせる。いつもの自信がない独歩が顔を出しているようで、体を小さくしてしおらしくなってしまっていて、私が悪い事をしているみたいな気分になる。

「ずっと聞きたかったんだけどさ……独歩は、私とどうなりたいの? 私をどうしたいの?」

「……俺は……」

俯いて、黙ってしまった。

何かを言おうとして止めるを繰り返す。独歩は元々自分に自信がなく卑屈な部分があるから、何かが言葉を出しにくくしているのか。

私は独歩の頬に触れて、こちらを向かせた。
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