第7章 二つに分かれた運命
黄色い潜水艦が海面に上がってくる。
海兵がザワつくので震える足に力を入れて立ち上がった。
「そいつをこっちに運べ!」
声変わりが終わり大人の男の声。
肌は白いあざが無くなっていたものの、目の下のクマは治ってないその顔。
髭は生えていたし腕や指にはタトゥが入っていた。
しかし、それは紛れもなくかつて2年ほど一緒に旅をした旧友の姿だった。
(ローだ!)
今すぐ走り出そうと足を1歩前に出した。
ズキン
脳の奥に痛みを感じ、足がそれ以上出なかった。
「急げ!海軍が来る!」
痛みで体が動かせない。
膝をつき、片手で頭をおさえるが視界がぼやけていく。
(ロー、待って。あなたに聞きたいことが山ほどある。)
声も出ず、視界がぼやけていく。
ぼやける視界の中その背中がかつてのコラソンと重なった。
それは潜水艦の方へ入っていき、潜水艦は海へと消えていった。
(…!)