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記憶が亡くなる前に

第7章 二つに分かれた運命


海兵はシオンが怖がらないようにしゃがむ。
シオンは困ったようにコラソンと海兵を交互に見る。

「俺の本当の場所の留守番よろしくな。
3ヶ月。3ヶ月だから。」

シオンの頭を撫で背中を押した。
押されるがまま、シオンは1歩前へ出た。

「よろしく…お願いします…。」

「必ず。」

海兵はさわやかに笑った。
海兵と共に船へ向かう。
歩いてる時、シオンは振り返った。
コラソンはタバコに火をつけて手を振った。
シオンも手を振り返す。

「待ってるから…。」

「あぁ…。なぁ、シオン?」


コラソンは優しい笑顔で笑う。
コラソンの次の言葉を待った。

「愛してるぜ。」

その言葉にシオンは、パァっと子どもらしい笑顔で笑った。
それを見たコラソンは背中を向けて歩き出した。
シオンは大きなもふもふとしたコートの背中を見えなくなるまで、見つめながら歩いていった。

それがコラソンと交わした最期の言葉であり、その背中がシオンの見た最期の姿だった。
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