第1章 1杯目
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ぞくっとした。
どうしよう。確実に色気では負けた。
思わず下を向いたけど透くんは気にする事なく
視線を前に戻して車を進める。
「乃々華さんは何故組織に?」
突拍子もない、けど、皆気になる疑問。
「………両親が組織の人間だった。
もう殺されちゃったんだけどね」
「…………すみません」
「全然気にしないで、むしろ辛気臭くてごめんね」
私は、こういう質問はしない。
こんな空気になるから。
そんな事を話していたらホテルに着いた。
「乃々華さん、お待たせしました」
「全然、運転ありがとね」
「……………」
「ん、どうしたの?」
「いえ、組織の人間からそんな事
言われた事が無かったので驚いてしまいました」
「ホント?確かに言わなそうな人らいるもんね」
部屋の鍵を貰い、部屋に向かう。
今更だし、今まで何とも無いのに。
なんか、緊張する……。
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