第1章 1
やがて太鼓の音が完全に聞こえなくなった。着いた場所は天祥院財閥が運営するホテル。
「え....//」
ゆなちゃんは顔を真っ赤にしている。
フフ....かわいいな...
ホテルの最上階のスイートルームのドアを開けると丁度大きな花火が間近で上がった。
「わぁ...!」
ゆなちゃんは窓に駆け寄って興奮したように花火を見ている。
フフ...大成功かな。
「ごめんね、もう少し夏祭りを楽しみたかったんだけど」
僕はゆなちゃんの髪にそっと指を絡ませる________
「はやく2人になりたかったんだ。それに、こんなに近くで花火を見るのは初めてだろう?
僕は夏祭りに行ったの初めてだったからゆなちゃんにも初めてをあげたかったんだ。」
「英智くん...」
目の前には綺麗な花火が夜空に花を咲かせている。
だけど、僕たちの目には僕たちしか映し出していなかった。
「ゆなちゃん...もう1つ君の”初めて”貰ってもいい?」
ゆなちゃんはビクッと体を震わせ顔を真っ赤にした。
フフ...耳まで赤くしてお猿さんみたいだね。
「そういえば言ってなかったけど今日すごく可愛いね。今からぬがしてしまうのが勿体ないくらい。」
僕はゆなちゃんの赤くなった耳の近くで呟いて
そっと、口付けた。
2人の夏祭りは終わったけれど、
夜は始まったばかり。
そして隣には_____________好きな人。