第7章 一緒に
side toge**
夕練に顔を出したら、唯がいなかった。
澄んだ青空が高く、ふわりと柔らかい風が吹く気候の良い夕練日和の午後。
確かに真希とふたりで教室を出たと思ったのだけど。
「ツナー?」
夕練前にグラウンドの端でひとり柔軟をする真希に声を掛けると、唯は家入の元に行ってから合流すると言ってそのまま校舎内で別れたようだった。
体調不良には見えなかったが、医務室に行くと言うのなら何かがあるのだろう。
ーー例えば、単なる定期検診。何かの相談かもしれない。もしくは発情〈ヒート〉の抑制剤を貰いに行くとか。
唯が三須と番いになって1ヶ月近くが経つ。ここ最近は穏やかに過ごしているが、Ωやαについて考える事は今、特に唯にとって楽しい時間ではないだろう。