第6章 あなたとともに
社寺のような作りをした広い校舎には歴史が深く感じられる。
所々が渡り廊下で繋がっていたり、そうでなかったり、迷路のように入り組んでいるが基本を理解してしまえば迷う事もあまりない。
唯は渡り廊下からそのまま中庭に出た。
それは見慣れた道。
グラウンドから聞こえた小さな声に唯は足を止める。
少し距離のあるグラウンドに目をやれば、数人の小さな人影と、遠くに響く声。白と黒の一際大きなパンダの身体は中でも遠目にかなり目立っている。
真希もパンダも、唯を気に掛けてくれているのは理解している。
新しいチョーカーを買ってそれを隠してくれたのは真希だった。前程の機密性はない。もう、必要がないものだから。
ただ、首元が目立たないように。
気持ちの整理が着くまで、その痕が人目に触れないように。
いつも、通りにーー。