第3章 唯一の真実
side you **
真希とパンダが医務室を出て、残されたのは棘と唯のふたりだった。
小部屋となっている医務室。カーテンで遮られた窓からは、明るく柔らかな日差しが差し込んでいた。時間の間隔があまりない。
まだ、ふわふわした感覚が抜けない。
鈍く痛みが響く頭。
誰かに触れたい、抱き締めたい、身体が熱い。
この感覚には覚えがあった。発情〈ヒート〉だ。
完全には治まっていないようだった。
まだ震える指先を力強く握る棘に、唯は顔を上げた。
棘くんが、いる。
側に、居てくれる。
それだけで、唯の胸に安心感が広がっていった。
こぼれ落ちる涙が止まらない。
次から次へと溢れていく。