第3章 氷を溶かしたい
この日、宇髄は蝶屋敷に来ていた。別に胡蝶しのぶに用があるわけではない。玲華の様子を見に来たのだ。
「音柱様ですね。いかがされました?」
出てきたのは、3人娘の1人。確かかほと言ったか。
「氷見玲華、いるか?」
「玲華さんでしたら、裏庭で鍛錬されてます。お呼びしましょうか?」
「いや、いい。俺が行く。」
宇髄は案内を断ると、蝶屋敷の裏へ回る。普段、行かない方向へ向かえば、刀を振る音がしてくる。そっと覗くと、玲華が胴着姿で刀を振っていた。玲華の音は、真面目そのものの様な音だった。
(違う音がする。やっぱり人間なんだな。)
改めてそんな事を思った宇髄は、耐えきれずに、玲華に声をかけた。
「よぅ、精が出るなぁ。」
玲華は、俊敏な動作で、宇髄に向かって刀を向けた。心の音は、なくなった。
「、、、音柱様でしたか。」
玲華が綺麗な動作で、刀を仕舞う。玲華は改めて宇髄の顔をじっと見ている。
「、、、音柱様ですよね?」
宇髄は隊服は着ていたが、いつもの宝石のあしらわれた額当てと目の周りの化粧をしていなかった。