第5章 溶けた氷の中は
ここ1ヶ月ほど、宇髄は玲華のところに行けないでいた。元々忙しい身だ。遠方への任務もあり、玲華に会えていない。
(別に約束してるわけでもないし。)
と、宇髄は特に玲華に連絡をしていなかった。
そこから2週間ほどして、やっと宇髄は蝶屋敷に行く時間が出来た。久しぶりに団子を買って、玲華に会いに行く。
「よぅ、玲華。久しぶり。」
相変わらず裏庭にいる玲華に、宇髄は声をかけた。玲華が慌てた様に宇髄の元へ来る。
「、、、遠方への任務だと伺いました。お怪我はございませんか?」
玲華が自分から宇髄に話しかけるのは、初めてだった。玲華は挨拶や相槌は打っても、自分から話すことはなかった。
「あぁ、大丈夫だ。心配したか?」
宇髄は揶揄うように玲華にそう問いかけた。どうせ返事は返ってこない。そう思っていた。
「、、、、、心配、しておりました。」
玲華は小さな声で、囁く様に言う。宇髄は驚いて、声も出せない。
「、、、お茶を、もらって来ます。」
玲華は、宇髄に背を向けた。