第12章 転機
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「おい貧乏、てめえ今度でけー声出してネアを呼びやがったら、ただじゃおかねえからな……サピルーンに貧乏の所有権讓渡してやる」
「それはやめてくださいよ……」
日を改め、場所を会議室に変えて、カルファはネアに見つからないよう細心の注意を払いながらを口説く。
「多種多様な女を抱けるのが売りの娼館を立ち上げたのはいいが、来るのは人間の男ばっかりだ。それも物珍しさで違う種族の女を抱きたいってだけの一見がほとんど。世間の大半の人間の客は普通の人間の女専門の娼館に行っちまう。正直赤字だ」
カルファはそう言い、肩を竦めて見せる。
薄く唇を噛んだ。
「俺の読みが甘かったンじゃねえ。獣人の娼婦がわりぃ。あいつら、種族によって露骨に手を抜きやがる。やれ人間の男は遅漏でめんどくさいだの、サービスを求めすぎるだの……。んで、獣人の雄共。あいつらには金を払ってセックスするっつー考えがねえ。セックスイコール子作りで、娯楽じゃなく生存競争な訳だ。だから同種にしか目が行かないのかもな……どうも俺の目録通りに行かねえ、ピースが揃わねえんだよ」
カルファはうんざりとした顔で続け、ため息を吐く。