第19章 背徳
が部屋から逃げ出そうとした瞬間、膝から崩れ落ちた。
身体に力が入らない。
「……一体どこへ行く気ですか? 帰る場所もないのに」
サピルーンが微笑む。
の首に感じる痛み。
心臓の鼓動が激しくなり、全身が燃えるように熱くなる。
サピルーンの手にした注射器。
の首筋に注射針が突き刺さっていた。
「なに……を……」
「安心してください、毒ではありませんよ」
サピルーンはの片手を掴み、背後からそっと抱いた。
そのまま注射器の押し子を押し、中に入った液体を注入していく。
「ただ……貴方が素直になれるように。私の愛に気がついてくれるおまじないみたいなものですから」
「……あ」
身体の火照りが増し、手先、足先へと広がっていく。
下腹部がずきんと疼いた。
の中心が蕩けそうに熱く高まり、息が荒くなる。
内腿に蜜が滴るのが分かった。