第15章 めんこいおうま
「今日はよろしくお願いします。……初めまして、お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「初めまして、ちゃうけど」
頭上から降ってきた言葉に慌てて視線を上げる。
声変わりをしたばかりの低い声から、彼が見た目よりも歳若いことが分かる。
青年は真顔でを見下ろしていた。
必死に記憶を辿るも、全く思い当たるものが無い。
「ど……どこかで、お会い、しましたか」
怖々と口を開くと、青年は乱暴にドアを閉めて部屋に押し入った。
「あ、の」
は反射的に後ずさり、怯えた目で彼を見上げる。
そんなの態度に急いたのか、歯噛みし、を荒々しく壁に押しやる。
大きな手の平から伝わる力と怒りには顔を歪める。
潤んだ瞳で青年を見上げると、
「……なんで……」
血の気の引いた顔が映った。
「なんで僕の事覚えてへんの?」
深い絶望の感じられる表情で呟くと、そのままにのしかかった。
「あぁっ……!」
巨体に組み敷かれ、は悲痛に呻く。
血管の浮いた筋肉質な腕がの服に伸びる。
一枚、また一枚と乱暴に脱がし、素肌が覗くと、青年はごくりと唾を飲み込んだ。