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首輪をつける

第1章 種族に貴賎なし


雑踏する街角。

町には所狭しと店が並び、その間を人々が忙しなく行き交っている。

逞しい身体をした男が頭を屈め、ショーケースの中から魚を手に取る。

彼は慣れた手つきで袋に入れた。

それを悠々と受け取る貴婦人。

彼女がくるりと手のひらを向ける。

桃色の肉球が何とも愛らしい。

つば広の帽子から飛び出した三角耳、ドレスの裾から伸びる長いしっぽが揺らめく。

たった今自分の物となった魚を見て、彼女はゴロゴロと喉を鳴らした。

彼女は当然のように二足歩行でその場から立ち去っていく。

時折顔を手で擦り、美しい毛並みを舌で整えながら。

その姿を眩しそうに見つめる男性店員。

彼の耳は左右に伏し、臀部から生えた大きな尻尾はちぎれんばかりに左右に振られていた。
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