第9章 きっかけ 轟焦凍side
俺には好意を寄せている奴がいる。でもそいつは、俺の顔を見るなりすぐどこかへ行ってしまうし、一緒にいると気まずそうな表情を浮かべる。
轟「…」(何とか近づけねぇかな…。)
部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、誰かがもの凄い勢いで走ってきた。
轟「!…」
そいつはパニック状態だったのか、目の前にいる俺に突撃してきた。
轟「お、おい……!?…」
「ご、ごめんっ…!!」
咄嗟に支えてしまった。腕の中にいたのは紛れもなく俺の好きな奴で…。
轟「…どうした?」(冷静に…。)
「っあ…ああ…あの…っ…。」
半泣きの彼女。
「む、虫が…出てっ…!」
轟「…虫…?」