第4章 本望 死柄木弔
「っ…!」
思わず私は彼に抱きついた。
「帰る…っ……帰るから…っ…!!ごめんなさい!やめて…っ…。」
顔に触れそうなギリギリのところで、手は止まっていた。
死柄木「…そうだよなぁ?」
彼は手が触れないように私を腕で抱き上げ、振り向いて路地を歩いて行った。
緑谷「ま…てっ…!!」
「っ…。」
私は声を出さないように彼に向けて謝った。彼の悔しそうな顔が…目に焼き付いた。
*
本拠地に戻って、再認識する。彼からは逃げられないのだと。私が逃げれば誰かが傷つく。彼のそばにいるしかない。
それが……私の本望だと…思い込むしかない。
死柄木「2度と逃げ出そうなんて考えんじゃねぇぞ。お前は、俺がいねぇと生きていけねぇんだから。」
ニヤリと笑みを浮かべる彼は、私を愛おしそうに見つめ、4本の指で撫でる。
「っ…。」
誰か……
助けて…っ……
Fin