• テキストサイズ

シッパイ

第3章 3



目が覚めると、わたしは自宅のベッドの上だった。


はっきりしない頭を抱えてゆっくりとベッドを降り、リビングへと向かう。
まぶしいい朝日に思わず顔をしかめながら、漂ってくるいい匂いにクンクンと鼻を鳴らした。

「あ、起きた?おはよう、ちゃん。朝ごはん、できたけど・・・食べられる?」
「下野さん・・・?」
「ほら、きーくんも起きて!」

わたしのエプロンを着けて、下野さんがソファーで眠る紀章さんを揺さぶった。

「えーっと・・・・??」

訳が分からずに『?』マークが辺りを舞う。

「やっぱり覚えてないよね?昨日、潰れちゃったからさ、とりあえず、ちゃんちまで連れてきたんだけど、すごい飲んでたからさ、一人置いて行って、夜中に急性アルコール中毒とかになっても困るから、俺と紀章さんも泊まらせてもらった。冷蔵庫にあったもの、適当に使っちゃったけど、大丈夫だった?」
「あ、はい、それは・・・全然大丈夫ですけど・・・」

下野さんがゆっくりとわたしに歩み寄ってくる。

「それから・・さ、昨日のこと、ちゃん・・・どのくらい覚えてる・・・?」

下野さんが照れくさそうにピンクになった耳を触りながらわたしを探るように見つめた。

「あ・・・えっと・・・めちゃくちゃ醜態晒して泣き叫んだまでは覚えてます・・・ごめんなさい、すいません、ご迷惑おかけして・・・」
「あ、違う、そうじゃなくて・・・別に謝罪を要求してる訳じゃなくて・・・ちゃん?こっち向いて?」

うつむいて平謝りに謝るわたしの顎に手をかけ、下野さんがわたしを自分の方へ向かせる。

「俺たち・・・両思いってことで・・・いいんだよね・・・?」

わたしは戸惑いながらも彼の優しい瞳を見つめる。

好きだ。
わたしは、下野さんのことが大好き・・・だ・・・。


「好き・・・です」

無意識のうちにこぼれ落ちたその言葉に、下野さんが嬉しそうに微笑んだ。

「じゃぁ・・・ちゃんは、俺の彼女ってことでいいんだよね?」

確認を取るように繰り返す下野さんに、わたしは逆に問いかけた。
/ 9ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp