第5章 70年後のキミへ《ブルック》
ブルックはすぐにリンがいるであろう部屋の前に行った。
しかし中々ノックができない。
約束を守れていないのに会いに行ってもいいのだろうか。しかし自分も会いたい。
そんな考えがグルグルと回る。
『誰かいるのかい、、?』
ふと部屋の中から声が聞こえて、思わずブルックは黙り込んでしまう。
なかなか返事が来ないため、リンは『お医者さんじゃなさそうだねぇ…入っておいで…』と言った。
ブルックが恐る恐る扉を開けると、70年前の姿とは違いヨボヨボになったおばあちゃん姿になったリンの姿が見え思わず涙を流してしまう。
リンの近くに座り、ブルックは何故か「初めましてお嬢さん」と言ってしまう。リンは少し間を開けたあと、ケラケラと笑いだした。
『何十年前の話をしてるんだい…ブルックさん…。見ないうちに骨になっちまって…』
リンがそう言った瞬間ブルックは涙を流しながら優しくリンを抱きしめた。