第8章 とある女が愛されるまで《トラファルガー・ロー》
店に着くなり性格も機嫌も悪そうな50代くらいの店主がいた。
リンが店主に話しかけ先程あった事情を説明していた。
ローは入口のところで待ち、リンを少し遠くから見ていた。
ふたりの会話はあまり聞こえないが明らかに店主は怪訝そうな顔をしている。
「はぁ?お前あの男に借金を肩代わりされるって言われたのか?」
『…はい』
「やめとけやめとけ、ありゃ名のある海賊だ。
お前こっちにいる時よりひでぇ扱いされるぞ」
『でも助けられたし…』
「俺の言うことが聞けねぇのか!!それにあの海賊でもてめぇの借金を返せねぇよ!!」
あとどれくらい借金があるのだろうか。
父が作った借金は4000万ベリー。娼婦として毎日働き出して約10年。
14歳の頃から働いていたリンはそろそろ全額返金できたと思うのだが店主は一向にリンを離してくれない。