第6章 同僚を食べたい《サボ》
リンには悩みがあった。
最近同僚であるサボがしつこい事である。
しつこいのは前々からなのだが、最近は そのしつこさが増していったような気もする。
「あ、それ美味そう。もらうぞ~」
『…』
普通の人なら1つだけもらうのだろうが、この男は違う。袋ごと持っていくのだ。特にリンが大好きなものは1つ残らず食べる。そんな男である。
『サボさん。全部もっていかないでください』
「あ~ごめんごめん。ほらよ」
そう言ってリンの元に返ってきたのは、袋の中身のたった2割。
このクソ男、、、!!
と言う罵倒が出そうになるがちゃんと我慢する。
私は大人。と言い聞かせ、とりあえず部屋から出ようとする。
サボの横を通り過ぎれば、「おいちょっと待て」と腕を掴まれる。
『…なんですか』
万遍の笑みでリンを見つめる。普通の女性ならこの笑顔にイチコロだろうが、この笑顔を向けられた矢先には 最悪な事が起こるとリンは知っている。