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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第11章 【五条/シリアス】最愛のあなたへ




「あなたが死ぬ夢を見た」



目を覚まして、慌てて飛び起きた私がそう言うと、恋人の五条悟はプッと吹き出した。


「最強が死ぬと思う?」


私は首を振る。最強が死ぬわけがない。

そんなことは知っている。

夢の中では、何処かのモニター越しに彼の死を目撃した。

血溜まりの中で、虚ろな目をした悟が事切れている様が映し出されていて、急速に六眼の光が失われていく光景を見ながら、私が取り乱していた。


「そうだよね、夢だよね」


悟は最強だった。

日本に少数しかいない特級呪術師で、その中でもさらに特別扱いされる異次元の存在だ。

そんな人が私を好きだと言うなんて最初は冗談だと思ったけれど、一方で、彼に言い寄られて求められる甘い関係に、心身丸ごとズブズブと溺れていった。

私の恋人は何をやっても完璧だった。

それは彼自身の努力の賜物でもあったが、才能によるところも大きいと思う。

力の抜きどころを知っていて、どこに力を入れて努力すれば最短で上達出来るのか、見抜きながら動いていたから、何を学ぶにしても化け物のような学習能力を見せた。

甘いものが大好きで、腹黒い軽薄さで敵味方関係なく煽りつつ、子供っぽく駄々をこねたかと思えば、他人にどう見られているか計算した上で振る舞うこともある策士。


「ね、キスしてよ」


いつも唐突に彼はそう言って甘えてくる。

何回やっても慣れない。

私はその白い滑らかな頬に唇を寄せた。

もう少しで触れるところで、彼は私の顎を片手で持ち上げる。


「ゆめ、なんでほっぺ?」

「だ、だって、恥ずかしいでしょ!」

「はぁ?僕ら何回もキスしてるでしょ。幼稚園児じゃあるまいし、口にしてよ」


目をギュッと瞑って柔らかい唇に触れると、胸がドキドキしてしまう。

すると、彼は「もっと」と言って、強引に私の頭を押さえ込んだ。

強く押し付けられて息ができず、苦しい。酸素を求めて口を開けると、すかさず温い舌が侵入してきた。

口内を舐め回され、吸われる。


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