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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第18章 【夏油/悲恋】偽り睡蓮花



――ある人物の手記より――



一人の少女が処刑された。

呪詛師 夏油傑に心酔していた彼女は、百鬼夜行にて何人もの呪術師を手に掛けた。


「私が100人殺したら、夏油様はお嫁さんにしてくれるって言ってたの」


捕縛された後の取り調べに、可憐な笑みを浮かべて何度もそう答えた少女。

高専で行われた診察から、その身に夏油傑の子を宿していることが発覚する。


御三家――特に五条家の温情により死刑を保留としたが、少女が我が子との対面を果たした翌日に刑は執行された。


死を迎えるその瞬間、彼女は死刑執行人の背中に悪寒が走るほどに美しい微笑みを浮かべた。

血に塗れながらも、幸福に満ちた顔をして何かに手を伸ばし、そのまま事切れた。


高専の調査では、一般家庭に生まれ、近所の学校に通う普通の女子高生だった。


一体、どこで道を踏み外したのか。


夏油一派の残党の足取りを追跡し、彼女との関係性を調べ上げるよう、上層部から高専関係者全員にお達しがあったそうだ。

聞き取りや独自の調査で分かったのは、夏油と彼女は「恋人同士だった」と簡単に言い切ってしまうには、実に奇妙な関係だった。



これは、呪詛師となることで初めて生きる意味を見出した少女の、幸せに満ちた呪いの記録である――。





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