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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第14章 【虎杖/コミュ提出物】ヘレボルス


深夜の病棟をうろついていたところをスタッフに保護されたことがあり、その時に出歩いていた理由を頑なに言わなかったのが懸念材料だと資料にも記載がある。


「それで、とりあえず俺たちが調査を任されたんですか」

「ってゆーか、なんでこの病院が急に都市伝説の舞台になってんの?至って普通の病院な気がするけど」


病院の正門をくぐり、入口までの道を歩きながら、悠仁は素朴な疑問を投げかけた。

その隣で、恵は顎に手をあてながら事件の資料を読み込んでいる。


「それについては、伊地知さんが気になって調べたっス。だけど、ネットの世界が広すぎて都市伝説の出どころが掴めなかったんだなーこれが。ビル事故後から噂が広がり始めたのは、少しきな臭いところっス」

「ふーん、伊地知さんが調べても分からないって珍しくない?」

「『私の調査不足です。申し訳ありません』って、風邪ひきながらも連絡くれたっス」

「いや別に謝らなくても……」


悠仁は気遣わしげに眉を寄せた。

伊地知は補助監督として優秀だが、その能力に驕らず、常に謙虚な姿勢を崩さない。それは美徳ではあるが、あまり自分を責める必要はないのではといつも思う。

そんな会話を繰り広げながら歩いているうちに、全員病院の入口まで辿り着いた。


「じゃあ……私は伊地知さんの代理で書類作成の仕事をしつつ、病院の駐車場に待機してるっス。何か分かったら電話で!」


自動ドアの前で爽やかに全てを丸投げしてくる明を見送り、彼らは病院内に入った。




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