第7章 寂しさ
「そう…だったんだ。じゃあ、どうして私が家にいるの見た時あんな驚いた顔してたの?」
それは、普通に驚いたレベルを通り越すほど。というか何事にも動じない悟にしては、らしくないと思うほどその表情は驚いた様子で、違和感を感じずにはいられなかった。
「あぁ、それはね…」少しばかり躊躇しながら言葉を詰まらす悟に、やはりさっきまでの話は言い訳だったのかもしれないと思い胸がぎゅっとなる。
だけど、次に伝えられた彼の言葉を聞いて私は大きく目を見開く事となる。何故なら…色白のその絹のような肌を紅く染め、照れたように私を見下ろす悟がとてもじゃないが嘘を付いているとは思えなかったからだ。
「ヒナに会いたくてたまらないって考えながら部屋に入ったら、本物のヒナが目の前にいたんだ。そんなの…驚かないはずないでしょ?」
少しだけハニカムように、だけどどこか気恥ずかしげに話す悟は。どうしようもないと言わんばかりに顔を赤く染めるとバッと両手で顔を隠す。
「いや、僕こんなこと言って恥ずかしすぎるんだけど。思春期の少年じゃあるまいし…だけどヒナに勘違いされてるのはもっと嫌だし」
そう呟く悟に、私は大きく目を見開いたまま指一本動かす事なんて出来なかった。なんだ…つまり今までのことは全部私の勘違いで…私が勝手に暴走したって事?
それに、会いたいと思っていたのは私だけじゃなくて…悟も私に会いたいと思ったくれてたの?それも会いたくてたまらないほどに?
そう頭の中が処理しきれた頃、今度は悟を上回るほどの速度で顔を赤くすると彼同様顔を両手で覆った。
いやいやいや、恥ずかしいのは私の方だ。何これ、穴があったら入りたいのレベルをとっくに超えている。
それに…悟に酷いこともたくさん言った。疑って喚いて強い口調で怒ったりもした。