第7章 寂しさ
「悟…疑って、ごめん…ね」
真っ赤だった顔を今度は真っ青にしながら、自分がやってしまった事に対して絶望すれば…悟は私の腕を掴みグイッと上半身を起き上がらせるとゆっくりと抱きしめた。
「僕こそごめん…酷いこと言ってあんなことまでして…」
「ううん、それは全部私が悪い」
全部全部私が悪い。私が早とちりして勘違いしたせいだ。悟は何も悪くない。そりゃぁ…全く怖くなかったと言ったら嘘になるけれど。そもそも私が勘違いをしなければ悟だって乱暴な口付けなどしなかったはずだ。
「ヒナ、あのさ。僕今凄く毎日が楽しいんだ。ヒナと婚約してからずっとそう」
「……え…」
「どんなに疲れて帰ってきても、どんなに上にクソみたいな任務投げられても、家に帰ってヒナがいると思うと頑張れるし、ベッドで眠る君を抱きしめるとあっという間に疲れが消えていくんだ」
それはとても穏やかで優しい声。
「僕、絶対にヒナを裏切るような事はしないよ。君を傷付けたくないんだ。それに、こんなに可愛くて大切な婚約者がいるのに他の女に興味持つはずないでしょ」
可愛くて大切な婚約者…!?その言葉に先ほどまで普通に戻っていた顔色が再び真っ赤に染まった事だろう。そんなの見なくても分かる。
「だから、これからはヒナを不安にさせないように頑張るよ。だからヒナも僕のことを信じて欲しい」
まるで語りかけるように話す悟の緩やかな声に、私は自然とコクリと頷くと悟を真っ直ぐに見つめた。