第7章 寂しさ
悟だから心地良いんだ、悟に抱きしめられているから安心するんだと…そんな事深く考えなくてもすぐに分かった。
それと同時に、今までなら週に一度以上必ず泊まりがけで地方へ任務に行っているはずの悟が、たとえどんなに夜遅くなっても毎日帰宅してくれていた事に気がつく。
そう、悟は私と住んでからほとんど泊まりがけで任務に行っていないのだ。それは悟が暇になったとか、繁忙期じゃないからとかそんなのは関係ない。何故なら特級呪術師である彼はいつだって誰よりも忙しいのだから。
悟はきっと、私のために毎日家へ帰って来てくれている。どんなに忙しくても、どんなに疲れていても…私が待っているあの家へ帰って来てくれていたのだ。
この2週間、そんな事にも気が付いていなかった自分を心底どうしようもない人間だとそう思った。何故気がつかなかったんだろう。悟のその優しさに…彼のその気遣いに。
仲の良い夫婦になりたいと言ってくれた悟。だからこそ、その気持ちを有言実行してくれようとしたんだと思う。
私と仲の良い夫婦になるために、私とこれからを過ごしていくために。
やはり私はいつだって悟から優しさをもらってばかりだ。いつも私は悟に甘えてばかりだ。
「……悟」
私はベッドに置いてあった枕を抱きしめると、それに力を入れるようにしてぎゅっと強く抱きしめた。