第6章 僕の可愛い人
そんなこんなでグダグダと話をしながら、0時を回ったのを合図に店を出る。
あぁー、ヒナの話をしていたからか余計に会いたくなってしまった。
明日になれば会える、いや…このまま出張先まで行ってしまおうか。この時間って新幹線走ってんのか?それとも伊地知を叩き起こして運転させるか。そんなしょうもない事すら頭に浮かんで来るほど彼女に会いたくて仕方がない。
「はぁ、手に入った瞬間欲望まみれでウケるね」
今まではこんなこと無かった。ちゃんと我慢だって出来ていたし、会いたくても己を自制出来ていたはずだ。間違っても夜中に伊地知を叩き起こして運転をさせようなどとはさすがに思いはしなかった。
マンションのエントランスにつき鍵を開ける。
今日もあのやたらと広いベットで一人で眠るのか。まぁあのベッド選んだのは僕なんだけど。2人でくっついて寝るには少し広すぎたかも。もう少し小さいベッドを買えばもっとくっついて眠れたのかもしれない。なんてまるで思春期の中学生みたいな事を考えながら辿り着いた部屋のドアを開ける。
部屋の中へ入れば、玄関から少しばかり灯りが漏れていて「あれ?僕電気消し忘れてたっけ?」なんて思いながらリビングの戸を開けてから大きく目を見開いた。