第6章 僕の可愛い人
「呪いとは上手く言ったものだな。確かに、五条のヒナへの想いは呪いに近いかもな。しかも特級レベルの」
素っ気なくそう言い放たれた言葉は僕の横から聞こえててきて、それを言った本人は冷めた瞳で僕を見下ろしている。ヒナの同意なしに勝手に婚約を決めた僕を引いているのだろう。
「硝子も来たんだ?」
「五条の奢りだから来いってそいつに言われたんだよ。あと同期の面白い話も聞けそうだしな」と硝子は傑を視界に入れると傑の隣の席へと座った。
「呼び出されたの僕なのに、ここ僕の奢りだったんだ。別に良いけど」
「当然だろ、私達の可愛い妹分を婚約者にした代金は払ってくれよ」
「いやそれ誰目線よ?」
クスクスと笑いながらウーロン茶をすすれば、やはり僕がお茶系統を飲んでいるのが不自然なのか硝子はグラスをジッと見つめた。
「それにしてもまさかとは思ってたが、お前童貞だったんだな」
さっきの傑との会話を聞いていたのか、そんなド直球な硝子の言葉に隣にいた傑が勢いよくむせ込む。
「夏油汚い」
「ちょっ、硝子…君は女性なんだからもっもオブラートに包みなよ…」
「え、何て?まだ清いお身体のままなんですか?って?」
眉間にシワを寄せ心底面倒臭さそうに言う硝子に、僕は思わず「ぶははははっ」と盛大な爆笑をかます。
「傑の純潔もウケたけど、清いお身体ってッ!爆笑もんだろ!」
「悟、うるさいよ。周りに聞こえるだろ」