第2章 幼なじみ
「じゃあ一体どうしたらいいのぉ…」
もはやヤケクソな勢いで残っていたカシスウーロンを喉に脱がし込むと、勢いよく空になったグラスをテーブルへと置いた。
「諦めな、何しても無意味だからさ」
「悟酷いよぉ、幼なじみが困ってるのに助けてくれないの?こんな時こそ五条家当主の権力を使って助けてよー!」
「いや、五条家当主の権力を全力で使った結果がこれなんだよね」
「??何言ってるの?」
そんな私と悟のやりとりを聞いて何かを理解したのか、傑と硝子は何やら呆れたような表情をしていて。
「なるほど。重いわー重すぎるわー」「騒がないと思ったらそういうことだったんだね。最強が愛に溺れるとこうも厄介なんだな」と2人でコソコソとよく分からない話をしていた。
「何か…眠くなってきちゃったな…」
ガーリックポテトを食べながらしぱしぱとする目元を擦って隣にいる悟へともたれれば、悟はそんな私を覗き込み私が持っていたポテトを取るとそれを口へと運ぶ。
「ヒナ帰ろっか、僕送って行くから」
「ん〜でもまだ枝豆のペペロンチーノ食べてない〜」
「言ったでしょ、ニンニクなんて意味無いから諦めなって」
「ん〜…」
悟はそんな私の腕を掴むと、隣に置いてあったバックを掴んで立ち上がる。
「それじゃ、僕達帰るから」
一万円札を数枚テーブルに置いた悟に硝子と傑が「ご馳走様でーす」「悟、あまりヒナを困らせるなよ」と声をかけたのが背中越しに聞こえる。だけど悟はそんな2人に返事をする事もなく居酒屋の個室から出ると、私と共に賑わう繁華街を歩き出した。