第2章 幼なじみ
「私、明日婚約させられちゃうの…っ」
思わずうるうると瞳から涙がこぼれ落ちそうになる私に、目の前に座っていた硝子と傑が驚いたように目を見開いた。
「は?婚約?」
珍しく焦った表情の硝子がそんな声を出す。
「うん…親に勝手に決められて…いくら私の術式が珍しいからって今どき政略結婚…?なんて酷いよね…しかも聞かされたの昨日だよ…」
「ふーん、それでヒナはやけ酒してるんだ」
そう言いながら悟はテーブルに頬杖を付きいつの間にか頼んでいたカルピスを呑気に飲んでいて、そんな悟を見て「え?悟?良いのかい?とゆうか君本当に悟?」なんて傑は変なことを言っている。
「明日もしこのままお酒くさい状態で行けば婚約破棄されるかなと思って」
「酒臭いくらいじゃ婚約破棄しないよ」
隣の悟は目隠しを外しポケットからサングラスを取り出すと、それをかけながらニコニコと笑ってそんなことを言う。
「え?うそ!じゃあこの温玉キムチ冷奴とガーリックポテトと枝豆のペペロンチーノ追加しよう!さすがにお酒臭いプラスニンニク臭いなんて最悪でしょ!」
「ヒナは単純で可愛いねぇ〜でも無駄無駄。そんなことしてもなーんにも意味無いから。てゆうかそんなの別に引かないし」
悟のその軽そうな口調に、私の前に座っていた硝子が「いや絶対ウソだろ、酒臭い女もニンニク臭い女もゴミカスくらいにしか思わないだろ五条は。まぁヒナは別として」と日本酒を飲みながら冷静にツッコむ。それにしても私は別としてってどう言う意味だろうか。