第6章 僕の可愛い人
再びグラスを掴んだ傑はゴクゴクと喉を鳴らしながら酒を一気に流し込む。きっと僕の話をシラフで聞く気にはなれなかったのだろう。
「一応聞くけど仲良くやってるんだろう?」
「もちろん、まぁ僕の理性が爆発寸前ではあるけど」
「私は悟が我慢していることに驚きだけどね。婚約したその日のうちに手を出すと思っていたよ」
「まぁそこは嫌われたくないからね。僕の理性ってあってないようなモノかと思ってたけど、20年我慢出来るくらいにはあったらしい。まぁもちろんアイツ限定だけど」
「本当だよね。20年ってもはや仏のレベルじゃない?そのルックスとその性格で、誰が悟のことを純潔だって信じるだろうね」
「好きな女がいるのに他の奴とどうこうなるつもりなんて微塵もないからね。気持ち悪くて触れることすら無理、視界にも映ってほしくねーよ」
「恋愛に関しては本当一途だよね悟。あぁ違うか、ヒナに一途なのかな」
「当然、アイツ以外考えられないし。アイツじゃなきゃ欲しいとも思わないよ」
しっかりとそう言い切った僕に、やはり傑は呆れたような笑みを見せると「純愛だねえ」と呟いた。