第27章 こんなにも君が好き
私達は生まれたその瞬間から、呪いの見えるこの世界で生きてきた。
それが当たり前で、呪いを祓うのが私達の当然の使命だとも思ってきた。
それを何ら疑問に思った事はなかったし、疑問に思うことすら許されなかったのだ。
そんな中で彼に出会った。
五条悟に出会って、私の世界は一変した。
己の思うまま生きる彼を見て、今まで自身が感じていた良い呪術師にならなくてはという孤独や焦りや劣等感が、まるで馬鹿げたちっぽけなプライドに思えて…そんなものいつの間にか彼と一緒にいるうちに消えてなくなった。
いつだって私の目の前を真っ直ぐに光ある方へ進んで行く彼が眩しかった。
堂々としたその背中に、どこまでも強く気高いその姿に憧れを抱いた。
子供の頃は小さいながらにも、彼の強さや次期五条家当主としてのそのオーラに息を呑んだ事が何度もあったし、私も彼のように良家の娘としての立ち振る舞いを懸命に覚えた。
まぁ気に入らない事や嫌いな人に対しての悟の対応は、今も昔も変わらずなかなか酷いものがあるのだが…
それでも子供の時から彼がそこらにいる子供達とは一味も二味も…比べることすら難しいほどに特別なオーラを放っていたのは今でも鮮明に覚えている。