第27章 こんなにも君が好き
「とにかく二人とも着いて来い」
夜蛾学長がこんなにも重苦しい雰囲気を醸し出し、私達を出迎える事など今まであっただろうか。
学生時代ヘマをしてお説教をされる時ですら無かったように思う。
私と悟はそんな夜蛾学長に無言のまま着いて行き、しばらくして足を止めた学長の後ろでピタリとこちらも足を止めた。
「中庭へ行け」
「中庭ですか?」
夜蛾学長の言葉にさかさず悟が口を開く。それはそうだ、何故中庭なんだという話しだし、もし生徒に何かあったのだとしたら医務室なのではないだろうか…それか緊急の任務が入ったのだとしたらそれこそ中庭に行く意味すら分からない。
「あぁ、中庭だ」
夜蛾先生の低く良く通るその声が有無を言わさぬ雰囲気を醸し出していて、先ほどまでの焦りは薄れ今度は疑問が浮かぶ。
高専内の中庭と言えば、よく学生の時は悟、傑、硝子の4人で昼寝をしたものだ。コンビニでお昼ご飯を買ってきて食べたりもしてたっけ。そんな事が頭をよぎり、より一層何故中庭に行くよう言われたのか訳がわからなかった。