第27章 こんなにも君が好き
とりあえずタクシーで高専に着き、重たい気持ちのまま二人で門を潜ればその先には夜蛾学長が待っていて私達へと軽く手を上げているのが目に入る。
え、何で学長が…
普段こんな場所で学長が待っているなんてことあるはずが無く…もしかしたら何か生徒達にあったのではないかという緊張感で一気に背筋に嫌な汗が伝う。
それは隣でキャリーバックを引いていた悟も同じなのか、パッと隣を見上げれば悟はサングラス越しでも分かるほど眉間にシワを寄せていた。
それが只事では無いのではないだろうかと、余計に私を焦らせそして指先まで冷やしていく。
「夜蛾学長、こんな所でお出迎えとは珍しいですね」
悟は低い声を出し、そしてスッと目の前を見据えると夜蛾学長を視界へと入れた。
まさか生徒の誰かが怪我をした?それとも悠二君の身に何かあったとか…?
もしくは傑や硝子の身に何かあったの…?
そんな事がぐるぐると一瞬にして頭の中を駆け巡り、夜蛾学長の目の前で足を止めた私達に学長はゆっくりと口を開いた。