第27章 こんなにも君が好き
無理を言って一週間もの休暇を頂いた身でそんな事もちろん言えるわけないが…おそらく悟は絶対に行きたくないと駄々をこねるだろう。
もちろん私だってそれに賛成したいが…結局そんなのは無駄な抵抗で行くしか無いのだということを痛いほど分かっている。
『夜蛾学長が至急高専へ来るようにとのことです』
「はぁ!?無理、僕今そんな気分じゃない」
『ちなみに椿さんも来るようにと…』
「余計に無理!」
悟の隣にいる私にも、彼らの会話はきちんと届いていて「はぁ…」と思わず重たい溜息を吐き出した。
やっぱりこうなるのね…呪術師の忙しさが恨めしい。
「悟、諦めて行こう」
なんやかんやと文句を言い揉めている悟を見上げ苦笑いを見せれば、彼も私同様デカデカとした大きな溜息を吐き出すと「伊地知あとで超マジビンタだからな」といつもよりも不機嫌そうな声を出して電話を切った。
電話を切る直前「ヒィッ!」という恐ろしい事を聞いた伊地知君の震えるような声が聞こえてきた気がする。