第27章 こんなにも君が好き
だからこそ、この幸せが永遠に続けば良いと思うのに…
そしてそれとは反対に、自分達が多忙を極めている理由が頭の中を支配していく。
呪術師は万年人不足だ。そして強い呪術師なら尚更に。私達の存在意義は呪術界の中に縛られている。
空港を出てタクシー乗り場へと向かおうとした時、ブーブーっと聞き慣れた音が耳へと届き…隣の悟へと顔を向ければそれはそれはとんでもないほどに歪んだ顔で足を止めた。
「帰国して早々これか」
うん、本当…私達まだ日本に降り立って数十分なんですが…
とんでもなく嫌そうな顔をしながら携帯を取り出す悟を横目で見ると、彼は大きなため息を吐き出しながらそれを耳へと当てた。
「僕達まださっき帰国したんですけど〜」
そんな第一声の悟の言葉に『すみません』という伊地知君の声があちら側から聞こえて来る。
「で、何?まさか今から任務とか言わないよな?」
それはさすがに…いくらなんでも今から任務はやる気が出ないどころの話ではない。絶対に行きたくない…