第26章 ナメすぎでしょ
不安を含んだその声は、少しばかり切な気に…そして辛そうにも聞こえる。
だけどヒナの答えなど、とうに決まっていた。
彼を愛したその時から、どうしようもないほどに彼を愛しいと思ったその瞬間から。
「悟、私は悟を守りたいんだ」
その瞳は真っ直ぐに、そして曇りなく五条を見つめた。
「悟は私を守りたいって思ってくれてるでしょ?だけど私もそれと同じだけ悟を守りたいと思ってるんだよ。ううん、悟が私をそう思うよりももっとずっと思ってるかもしれない」
最強呪術師である五条を守りたいなどと言う人間は、きっとこの世に彼女以外他にいない。これを聞いたら他の術師は馬鹿なのか?とすら思うかもしれない。
それほどまでに五条の力は強く揺るぎないからだ。
だけれど彼女にとってそれは違った。彼が最強だろうが何だろうが、五条は彼女にとって愛しているただ一人の男なのだ。
最強呪術師の五条悟ではなく、ただ心底愛おしい五条悟なのだ。