第26章 ナメすぎでしょ
「はーい、ストップ」
一瞬にしてヒナの元へとトんだ五条に、彼女は突然現れた五条の姿にもちろん驚いたように目を向けた。
しかしその表情を今度はハッとしたような顔付きに変えると「他の男なんて触らないでよ、妬けちゃうでしょ」という五条の言葉と共に彼女が掴んでいた男が五条の手に渡る。
「遅くなってごめんね」
掴んでいた男を五条は容赦なく手離し、ドサっという音を立て地面へと男が転がる。
「…さとる」
「それにしてもあの建物凄い壊れっぷりだね、素手でやったの?」
「…そう」
「さすがだね、惚れ直しちゃった♡」
瓦礫の山と化している建物を指差しながらニコニコと彼女を見下ろせば、彼女はさすがにやり過ぎたと思ったのだろうか、苦笑いをしながら五条から視線を逸らした。
「ごめんね、君から離れなければ良かった」
「私が油断しすぎてたんだよ…」
「全く新婚旅行にまでちょっかいかけてくるなんて、とんだ暇人がいるもんだよね」
「さすがに海外にまで来るなんて思ってなかったね」